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人間は「心が折れる」からこそ価値がある 【書評・まとめ】 人間の素晴らしさを改めて確認

 記事の内容

 

・人間の知能の素晴らしさはどこにあるのか?

・AIは人間を超えるのか?

・AIと人間の違いとは何か?

 

今回は、認知科学者、苫米地英人の本を紹介する。

 

心が折れる」のはダメな人間の証拠ではなく、人間の素晴らしさの証拠

 

これがこの本の核となるメッセージだ。

「心は折れないほうがいい」「感情は抑圧しろ」などの世間の風潮に対して、彼は真っ向から反対する。AIと比較しながら、人間の知能の素晴らしさを説明してくれる。

 

今回の記事では、主要な論点をまとめてみる。

 

 

 

 

人間は「心が折れる」からこそ価値がある 苫米地英人

 

 

AI化した人間にならないためにも、読んでいきたい本。かなり読みやすいです。

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 情動

 

人間は感情があるから、AIよりも優れている。これがこの本での苫米地氏の主張だ。

 

その説明のために、論理に基づく情報処理の弱点を説明してくれる。

言葉のせいで起こるパラドクスのように、論理、言葉による処理には、必ず矛盾がある。実際に、現実に起こる問題には、唯一絶対の答えはない。つまり、それを導ける論理的思考にも限界があるということだ。

 

それでは、人間はそんな現実にどう対処しているのか?

 

「情動」の力を使っている。情動による処理は、論理的思考を飛び越える効果があるのだ。

情動は、わたしたちの合理的な意思決定の根幹に関わっている。

 

情動があるからこそ、論理を使いこなしていけるのだ。そして、日々の生活に対処できる。

 

 

恐怖というのは、すべての論理を超えたショートサーキット(短絡)の便利な高速情報処理手段です。どんなに高度な推論をしていても、一瞬で割り込んで情報処理をします。あらゆる論理的思考に優先される緊急の情報処理回路です。

 

人間は推論を打ち切って、論理を超えて一瞬で判断できる能力を持っています。それが扁桃体による情動処理です。

 

限られた時間の中で生きている私たちは、永遠に推論を繰り返しているわけにはいきません。推論を強制的に打ち切って一瞬で結論を出さないと人類は死滅します。

 

 

 

 

 

「なんとなく」が人間

 

これら情動に基づいた意思決定に、根拠を求めるとどうなるか?

 

そこには、論理的な根拠はない。

 

実際に、普段の生活のほとんどは「なんとなく」だろう。

この「なんとなく」が、人間らしい「非合理さ」を産んでくれる。そして、現状のAIに足りない機能が、「非合理さ」だ。

 

 

論理ではないので、「理由は?」と聞かれても答えることはできません。強いて答えるとすれば、「何となく、そう思った」となるでしょう。

 

 

 

 

 

人間を超えるAIとは?

 

人間よりも人間的になったときに初めて「人間を超えた」といってもいいと思います。実現できる可能性はありますが、人間より非合理的な判断をしなければいけないわけですからすぐには実現できません。

 

 

人間の超えるとういことの本当の意味とは、「人間性の高さ」だという。

 

計算力など、特定の分野では、計算機が登場した時から、とうに人間の能力を超えている。その発展系が、チェスや将棋などのゲームでのAIの勝利だ。

 

だからこそ、本当の意味で人間を超えるとは何かを考えるためにも、「人間性」とは何かの研究が必要だという。

 

そこでの、最も大事なポイントこそが、「情動」なのだろう。

 

二〇四五年に人間を超える能力を持った人工知能が本当にできていたとするなら、それはどの人よりも人間性の高い知能です。人間同士は戦争をしかねませんが、人工知能は「それはまずいんじゃないですか。私は人が死ぬようなことは嫌ですから、絶対に協力しませんよ」と文句をいってきます。

 

そして、AIを怖がるのではなく、AIを設計する人間たちに注意するべきだという。

 

AIは、設計された通りにしかうごかない。

そのAIの判断の大原則となる、プリンシプル(原理原則)をどんなものに設定するべきなのかをよく考えるべきだという。

 

そのプリンシプル次第で、「それはまずいんじゃないですか。私は人が死ぬようなことは嫌ですから、絶対に協力しませんよ」などの、AIの人間性が決まる。

 

 

 

 

 

AIによって仕事がなくなる?

 

話は、今後の未来を見据えた働き方まで及ぶ。

 

AIによって、マニュアルがある機械的な仕事は、人間はやらなくて良くなる。

 

それでは、どう働けばいいのか?

 

働くことの本質とは、誰かの情動を豊かにすることだ、という。

誰かに嬉しいと思ってもらえるようなことを続けていくのが、もっともシンプルな方法だという。

 

 

心が折れる」のはダメな人間の証拠ではなく、人間の素晴らしさの証拠

 

ロボットは、これから人間化されていくのです。ならばこそ、ますます人間は「より人間的」にならなければなりません。我々は、人間をより人間的にするためにロボットをつくったのです。

 

仕事で高付加価値を生み出すことができるのは、自分の感情に正直で自分の感性を大切にする「心ある」人間だけです。

 

 

また、AI化した人間、劣化した人間にならないためにも次の記事が参考になる。

 

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人間とは、偶発性によって誘惑される存在。得体の知れないということによって誘惑される。

他者はコントロールできないから惹かれる。

 

とても重要な視点だと思う。次の関連記事で紹介している「天然知能」という考え方にも関係がありそうだ。

 

 

 

 

 

 

関連記事

 

知能そのものの研究の外観。流行りのAIの背景にある重要な考え方を学べる。

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AIと人間の思考の違いとは何か?そこに潜む、無限と記号の関係を探る。今回の情動の話とも関係が深い。

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「本当の外部」を感知する天然知能とは何か?

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まとめ

 

ぜひ読んでみてほしい。