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論理学超入門 【書評・まとめ】 論理について頭を悩ませたことのあるすべての人に

記事の内容

 

「論理について頭を悩ませたことのある人に、そして将来頭を悩ませる人に本書を捧げる」
 

今回紹介する本の冒頭に記されている言葉だ。

 

この一言に、すでにもう惹かれている人もいるのではないか?

 

現在、本屋に行けば、論理的思考の重要さをうたった本がたくさん並んでいる。論理的思考を磨きたい人にも、今回紹介する本は役に立つはずだ。

 

論理学の基本を概観し、背景の哲学的な問題を説明してくれるのが今回の本の特徴になっている。

今回の記事では、いくつかのテーマをまとめてみたい。

 

 

 

 

 

 論理学超入門 グレアム・プリースト

 

 

 

哲学的に意味のある問題、誰もが少し考えれば不思議に見えてしまうような問題。

 

これらは、人類の歴史とともにあった。神の存在証明などがそうだ。そして、それを厳密に考えるための道具が発明されてきた。

 

それが、「論理」であり、「論理学」である。

 

そして、本質を抜き出すだめ、わかりやすく表現するために、「記号」を用いる。

 

この記号論理学が、哲学的な問題にどのように有効なのか、この本はわかりやすく示してくれる。選ぶ題材も、教科書的な陳腐なものではない。できるだけ、興味惹かれるものが選ばれているのが、この本のうれしいところ。

 


いくつかのテーマをまとめさせてもらう。まとめるにあたり、本書が本来持つ厳密な議論が抜け落ちてしまっている。あくまでも、イメージとして記しておきたい。興味を持てたなら、厳密な証明など、本書を読んでみてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

妥当性 何から何が導かれるのか

 

論理学の対象は?

 

前提から結論が導かれるかどうかという点のみ。

 

妥当な推論とは、結論が真でないならば前提も真になることができない推論。

・「できない」ってどゆこと?
・「真になる」ってどゆこと?

 

 

こういった細かい部分の議論こそ、難しくも面白いところだと思う。しかし、思考停止させるのではなく、考えるのを促す書き方がされているのが嬉しい。

 

 

 

 

記述と存在

 

神は完全な性質をすべて備えた存在者である。ところで、存在は完全な性質の1つである。ゆえに、神は存在を備えている。

 

神、全知、全能、、、、

これらの概念の定義は、込み入った議論が必要になる。

 

しかし、神をある種の記述だと定義すればいい。あるリストに載っている性質を持つもの、とすればいい。

 

すると、この論証は、次のように言い換えられる。

 

「全知で、全能で、道徳的に完全で・・・・存在する対象は、存在する。」


この原理の本質は、「しかじかの条件を満たすものは、その条件を満たす」というものだ。

しかし、問題なのはその条件を満たす唯一のものが存在しているかどうか、だ。なぜならば、記述が支持する対象がほんとうに存在していない場合でも、この原理からは、存在が導かれてしまうことになるからだ。もちろん、この推論は誤りである。


つまり、この神の存在論的証明のミスは、証明すべきことを仮定してしまっている。「論点先取り」というわけだ。

 

 

 

 

 

条件文 「もしも」の意味

 

「もしaならばc」という形式を待つのが、条件文だ。

 

この条件文が偽になるのは、aが真でcが偽の場合のみだ。

 

しかし、日常の文で考えると、この形式に当てはまらない例外が出てきてしまう。

 

ここが、普通の論理学の教科書では、深くは扱わないところだ。けれど、この本は、「可能世界」という概念装置を用いて、説明をしてくれる。

 

しかし、それでもツッコミどころが残るという。つくづく、条件文とは議論が未だに多いものらしい。うーん、深い。

 

 

 

 

 

未来と過去 時間は実在するか?

 

マクタガードの時間論
「過去と未来が存在しなければ、時間は存在しない」

 

過去と未来は両立しない。だから、時間は存在しないのだ、とする。

 

この論証を、時制という観点から、記号論理で検証する。すると、マクタガードの説のおかしなところが見えてくる。よって、マクタガードの説の証明に不備があることになる。

 

 

 

 

同一性と変化

 

変化と同一性って、なんで両立できるの??

人間の成長など、変化しているのに、同一の人物に見える。

 

これには、
「あるものがしかじかのものであるということと、しかじかの性質を持っていることの区別」がついていないという混乱のせいだという。

 

また、同一性の重要な法則として、ライプニッツの法則というものがある。

「2つのものが同じならば、一方のもついかなる性質も他方の性質である」


しかし、これまた現実の問題を記号論理として解こうとすると、例外が出てきてしまう。うーん、なかなかスッキリはしない。

 

 

 

 

 

曖昧さ

 

子供は、1秒後も子供のまま。さらにその1秒後も子供のまま。これを繰り返していけば、永遠に子供のままになる。

 

連鎖式のパラドックスという。

これは、子供などといった、「述語」が曖昧なせいだという。

 

真理を程度問題として捉える。
ファジー論理と呼ばれる。

 

例えば、ジャックは子供であるの真理値が1から0にちかづいていく。

 

この論理によって、先ほどのパラドックスを表現すると、矛盾が見えてくる。

完全な真理とほぼ完全な真理が混同されているから、パラドックスになってしまうという指摘もできる。

 

 

 

 

 

 

数学嫌いな人のための数学

 

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この記事で紹介している本も、「論理」の背景が参考になる。

 

数学の中心にある、論理という考え方を様々な角度から深掘りしてくれる。数式が嫌いな人にこそ、おすすめしたい本だ。

 

 

一方、論理をもっと数学で感じたい人もいるはずだ。現在、数学における論理学として、もっとも体系化されているのが「数理論理学」である。

こちらがきになる人には、次の記事がおすすめだ。

 

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論理学の一つの到達点として有名なのが、ゲーデル不完全性定理だ。

興味がある方は、次の記事がおすすめ。

 

 

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ぜひ、興味を持てた方は、本のほうを読んでみてほしい。