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【アナイアレイション -全滅領域-】解説・ネタバレ ラストの意味とは? 生命哲学な映画

科学と哲学と気持ち悪さ

 

一時期、CMでかなり予告映像が流れていましたね。ネットフリックスで見ることができます。

 

ナタリーポートマン主演ということで、注目された方もいるかもしれません。

 

しかし、内容はかなり深いSFです。説明されていないことが多いので、細部までわかるにはかなり難しい映画になっています。科学から始まり、哲学的な要素まで含まれます。好きな人は、かなり楽しめる映画なはずです。

 

今回の記事では、可能な限り要素を探ってみます。それでは、目次をごらんください。ネタバレが含まれますのでご注意を。

 

 

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引用 「アナイアレイション 全滅領域」

 

 

 

 

 

あらすじ

監督はアレックス・ガーランド、主演はナタリー・ポートマンが務めた。本作はジェフ・ヴァンダミア英語版2014年に発表した小説『全滅領域』を原作としており、エリアXと呼ばれる謎の空間の調査に向かい、様々な理解不能な事象と危険に見舞われる女性だけの調査隊を描いている。

アナイアレイション -全滅領域- - Wikipedia


Annihilation (2018) - Official Trailer - Paramount Pictures

 

 

 

 

 

 

「アナイアレイション」の意味は?

 

全滅、崩壊、などの意味がある。さらには、物理学の用語で、対消滅という意味でも使われる。

 

対消滅ついしょうめつ、annihilation)は、粒子反粒子衝突し、エネルギー他の粒子に変換される現象である

 

 

この映画のテーマを表す言葉である。

 

崩壊と再生。消滅と変換。

 

何かが壊れ、新しい何かが作られる。

 

抽象度が高いテーマだ。ここに面白さを感じられるかどうかで、この映画の評価は分かれているように見える。

 

 

 

 

DNAが影響されてしまう

 

この映画は、設定を生かした世界観がとてもいい。

 

光のベールに包まれたような場所は、シマーと呼ばれている。

 

その場所では、あらゆる生物は光の影響を遺伝子レベルで受けてしまう。このがポイントだ。その結果、他の生物と混ざったような特徴を持ったり、今までの生物にはありえないような姿カタチになってしまう。

 

影響を受けたクリーチャーたちの不気味度は半端ない!!!

 

ネタバレになってしまうが、襲った人間の声をコピーする熊の登場は衝撃的だ。SF映画として、最高に怖い。他にも、遺伝子が書き換わり、内臓が動き出す人間、体の組織が植物になっていく人間などが登場する。

 

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引用 「アナイアレイション 全滅領域」

 

これら異形の存在たちのデザインがとてもいい!!

 

これらは、SF映画「エイリアン」のおどろおどろしさを思い出させてくれる。それだけではなく、この映画の特徴はである。光に照らされた明るい中での怖さを表現してくれているのがいい。

 

この鮮やかな気持ち悪さ、クセになる人もいるはずだ。近年でいえば、映画『ミッドサマー』で描かれた、白昼の狂気にも重なる。

 

 

 

 

登場人物たちが、消滅させたかったもの

登場人物たちは皆、「このまま生きたくない」という思いを抱えている。後悔や、絶望など、生きる希望を持てない人たちだ。

 

主人公のレナの後悔は、夫がいない間にしてしまった不倫だ。その後悔のせいで、夫を襲った未知の存在へと進むしかなくなる。一種の罪滅ぼしの感情だろう。

 

これら特徴は、彼女たちの「心理的な側面」だ。ここで気になるのは、なぜそういう心理的側面を持った人物たちにしたのかということだ。

 

心が体に影響を与えるというのだろうか?

 

 

 

 

心と物質

シマーでの光が影響を及ぼすのは、あくまでも物質、つまりDNAだ。一見、心と物質の間には大きな溝があるように見える。しかし、私たちの心の元になっているのは、脳の神経細胞たちだ。

 

だからこそ、彼女たちの心理状況とシマーでの変異との間の関係を探りたくなる。

 

彼女たちの「自滅へと向かう心」が、変異に適していたのではないか?

 

これが、現状での仮説である。心がDNAレベルに作用を及ぼす、これは現状の科学でも色々と議論が多いテーマである。心と脳の関係で言えば、心脳問題という哲学的なテーマがあり、簡単にはいかない。次の記事を参考にしてほしい。

 

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宇宙人?の目的

シマーの正体についても明かされることはない。宇宙から来た何かなのか、についてすら謎のままだ。

 

生物なのか、無生物なのか、これも不明だろう。

 

わかっていることは、生命に影響を及ぼすということだけだ。

 

人はとにかく理由を求めてしまう。しかし、彼らに対しては、そんな疑問は似つかわしくない。超越的な存在なのだろう。人類の常識の範囲には収まらない何か、に見える。こうした大きな存在を描くSFにはありがちなことだが、常識的な説明はない。

 

ここを好意的に受け入れられるかどうかで、またまた評価は分かれているようだ。

 

 

 

 

ラストの意味は?

 

劇中で明かされることだが、レナの夫ケインは、シマー内にて別の何かと入れ替わってしまっている。だから、レナの元に帰ってきた夫は、元の記憶がないのだ。

 

ケインは心も体も別のものだ。

 

一方、レナは最後の「君はレナか?」という質問には答えない。そのままこの映画は終わる。

 

このレナは元のままのレナなのだろうか?

 

ヒントは、彼女の目がシマーのようにきらめく点だ。これは、シマー内でレナもDNAレベルで影響を受けてしまっているということだ。心はまだ元の彼女の部分が大きいが、体は大きくシマーの影響を受け変異してしまっていると考えていいだろう。

 

崩壊と再生。消滅と変換。

 

このテーマを感じられるラストである。

 

 

 

 

 

 

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今回の映画は、科学と哲学が交差するところが魅力です。科学と哲学については、様々な楽しめる話題があります。もう一歩深く考えられる記事を紹介します。

 

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