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数学嫌いな人のための数学 小室直樹 【書評・まとめ】数学と人間の関係って深い!

記事の内容

 

・数学はどのように誕生してきたのか?

・宗教と数学の関係とは?

・人、社会、経済を貫く数学の論理とは?

・数学のキモとは何か?

 

数学、皆さんは好きでしょうか?

義務教育で教わる数学は、計算練習ばかりですね。

 

しかし、数学の本質とは「論理」なのです!!そして、その論理こそ面白い。

人間社会と数学の論理との関係を、一歩深く見直せる良書を紹介します。あの天才的な業績で有名な小室直樹の本です。彼は、あらゆる学問に精通していました。いろいろな角度から、数学というものを楽しめる1冊です。

 

 

 

 

 

数学嫌いな人のための数学 小室直樹 概要

 

1 数学の論理の源泉 古代宗教から生まれた数学の論理

2 数学はなんのために学ぶのか 論理とは神への論争の技術なり

3 数学と近代資本主義 数学の論理から資本主義は育った

4 数学の論理の使い方 証明の技術

5 数学と経済学 経済理論を貫く数学の論理

 

 

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著者 小室直樹について

 

社会科学の統合という壮大な目標を掲げ、数学、経済学、社会学、心理学、政治学、宗教学、法律学などを世界の超一流学者から学び、自家薬籠中のものとした異能の天才──その人物の名は小室直樹。自らを“ルンペン”と称しつつベストセラーを連発し、田中角栄を起訴した検事を「殺せ!」と叫ぶなどした一方で、ソビエト崩壊をいち早く予言した破天荒な学者はいかなる人生を歩んだのか。

 

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全体的に、数学と人との関係が丁寧に書かれている。

 

なぜ、人類は数学の論理を生み出したのか。そして、その数学の論理と、人が日々暮らしている経済との関係。

 

数学分からないなんていってる場合じゃない、私たちはすでに数学とともに暮らしている、ということか。

 

数学というものを一歩視点の高いところから、考え直せる一冊だ。たしかに、「数学原論」とも呼べる気がする。あらためて、数学の強さを実感できると思う。

 

とくに、数学の本質である「論理」についての多角的な考察が面白い。

 

それでは、いくつかのトピックを本書からまとめさせてもらう。

 

 

 

 

 

 

数学の論理の源泉 古代宗教から生まれた

 

古代イスラエル人。

 

「神は存在するのか、しないのか」この宗教的な動機のために、論理が整理され始める。

 

そして、神との契約を破ったか、破っていないか、を判定する必要がある。

 

論理とは、論争のための方法のこと。

 

神と人との論争である。

預言者の最大の仕事は、神との論争だった。

 

イスラエル人の宗教は、ユダヤ教は育つ。ユダヤ教からは、キリスト教イスラム教が生じた。それゆえ、ユダヤ教こそが現代宗教の根底だ。

 

 

 

 

論理の恐ろしさ

 

神すら論破することができる。

 

こうして、古代ギリシアにおいて、論理と数学が合体することになった。

 

 

存在問題、あるのかないのかが、人類にとっては重要なことだった。

 

神はいるのかいないのか

海峡はあるのかないのか

 

ここにきて、数学では、ガウスなどにより、解けない方程式の存在が明らかになる。

 

方程式の重要な役割とは、「答えがあるのかどうか」を数学的に考えられるところだ。これは、現実の答えがない様々な問題へ対処するうえで、重要な視点だ。

 

 

 

 

 

論理とは、論争の技術

 

神は、契約を絶対に守ることを要求した。

 

だから、成立したか、成立してないかが重要になる。

よって、ここから、「矛盾律」が出てくる。

そして、そこには、中間があってはならない。どちらかしか認めないのだ。これが「排中律」である。

 

そして、契約は言葉で行なわれる。用語の定義が求められる。ここから、「同一律」が生まれた。

 

形式論理学は、ギリシャで完成された。

しかし、人間の論理として実施されたのは、絶対的唯一神の存在を確信する宗教においてだった。

 

 

 

  • 同一律(Principle of identity)

    「AはAである。」
    *「AはBである。」も、AとBが共通の要素をもつことを述べているので同じ形式である。

     

  • 矛盾律(Principle of contradiction)

    「Aは非Aでない。」

     

  • 排中律(Principle of excluded middle)

    「AはBか非Bかのいずれかである。」

 

 

 

これらが数学の論理のキモである。

 

 

 

 

 

 

数学と近代資本主義

 

マックスウェーバーは、資本主義を生むのは、目的合理性だと言った。

 

目的合理性とは、形式合理性のこと。つまり、数学のように計算ができることを言う。

 

一方、日本人には、数学的思考を否定した「空」の思想が流れている。

 

「仏はあるとも言えるし、ないとも言える」という考え方ができるのだ。これは、先ほど紹介した論理学の基礎を破棄している。

 

また、資本主義の根本は私的所有権である。そして、私的所有権は、絶対性と抽象性を持つ。

 

すなわち、所有の絶対性は数学化されるのだ。

 

経済学において概念の数量化(数学化)が急速に進展しうる所以は、その根本となる所有概念が形式合理化(計算可能化、数学化)したからである。

 

そして、資本主義は商品交換によって機能する。商品の絶対性が出来上がる。

 

数学化のおかげで、マイナス所有という概念が出来上がった。ゴミや、産業廃棄物処理などがそうだ。

 

 

 

 

数学を除くあらゆる科学は不完全である

 

近代科学の前提には、帰納法が存在する。

 

今まで見てきたカラスが黒色だったから、全てのカラスも黒色だろう、と推論することだ。あらゆる科学もこのように、これまでの実験ではそうだったのだから、次もそうだろう、と法則化される。

 

しかし、次にそうなる保証はどこにもないのだ。明日いきなり、物理法則に反する事象が見つかるかもしれない。

 

だから、帰納法では、本来科学を完全にできないのだ。

 

この隙を「ファンだメンタリスト」はつく。聖書原理主義の人たちだ。彼らは聖書に書かれてあることを絶対とする。科学が不完全なのだから、聖書の方が正しいと信じるわけだ。彼らの行いを完全に否定することはできない。

 

一方、完全な帰納法もある。

それが数学的帰納法だ。この帰納法で証明された命題は、必ず正しい。

 

 

 

 

 

 

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まとめ

 

数学が嫌いな人も、もともと好きな人も、もっと数学を楽しめる本です。数式もないので、さらっと読めます。その分、数学の論理を習得するのは難しいのだけれど。

 

ぜひ読んでみてください。